男子校を舞台にレトロで可愛くてちょっと切ない青春恋愛ドラマ 加藤冬紀「鎌本健一、十五歳」

この新入学のシーズンになんか読みたくなる大好きなBLコミックがあります。

それがこの加藤冬紀先生の名作「鎌本健一、十五歳」です。

めっちゃ美少年だけど性格は男前な鎌本健一くんが男子校に入学し、個性的な同級生や先輩たちと青春の日々を送り、そして恋をするというお話なんですけども。

このカマケンがほんっと可愛いんです。

美少年として可愛いんじゃなく(いや美少年としても可愛いけど)、素直で実直な少年としての可愛さがたまらないんですよね。

好きな人に対して発揮するあざと可愛さも含めて。

あと、この本は絶版になっていて、今アマゾンの中古で1円から出品されてるみたいなので、先にお知らせしておきます。

はあ…以前おすすめしたThe神田兄弟もそうですが、ほんと加藤先生のマンガ最高なんでほんと再版してほしいです…せめて電子配信して欲しい…

以下ネタバレ含む↓

このマンガのステキなところは、なんといってもレトロでバンカラな、昔ながらの男子校を舞台にしているところです。

バンカラで古風な伝統校、むさくるしいはずの男子校が舞台のお話なんですが、出てくる少年たちがみんなすごく可愛くて…

おっさんみたいなイカツい見た目の子も、ちょっと不良っぽい子も、みんな根が素直で可愛くて、どこか女子校を舞台にしたゆるゆるっとした日常系百合マンガみたいな感じさえするんですよね。

個性的な子たちがそれぞれ距離感を保ったり、たまに相手の領域に踏み込んでみたり、ぶつかり合ったり許しあったりしながら共生しているのがちょっと「けものフレンズ」みたいなほのぼの感で。

飄々とした加藤先生の作風もほんと癒されます。

ストーリーの主軸はカマケンと、先輩の大野さんの初々しいラブストーリーとなっているんですが、これがすごく甘酸っぱくてちょっぴり切なくて、でもとてもハッピーなんですよね。

この二人は卒業後もきっとずっと仲良く付き合っていけるんだろうなと安心して幸せな気持ちになれるんです。

ただ、こういう男子校が舞台ということで、同性に恋をしても「これはきっとこの閉じられた世界の中だけの恋なのだ、この外の世界に出たらお互い忘れていってしまうだろう」という想いを抱く子もいて…

吉田秋生先生の「櫻の園」もそうですが、こういう男子校・女子校の中での恋愛とか先輩への憧れとかって、そういった「きっと勘違い、今だけの感情」っていうのがどうしてもあって、でもそこがむしろすごく輝いて見えたりするんですよね…。

本人がどんなに「一時のこと」と思って、実際卒業して異性と接するようになったら同性への恋愛感情を忘れるというか封印してしまっても、それでも学生時代に同性に鮮烈な恋や切ない憧れを抱いたことはウソでもなんでもなく紛れもない事実なわけで。

逆に一生に一度の、青春の輝きとして永遠にその人の心に残るのかもしれなくて。

そこがなんとも萌えるんだよなああああ…

そういう点では主人公カマケンの恋愛よりカマケンの周りの子たちのお話に、よりときめいたり萌えたりするかもしれません。

とにかく可愛くて切なくてときめいてクスリと笑えて、そしてハッピーになれる作品なので、アマゾンとか古本屋さんで見つけたら読んでみてほしいです。

でもThe神田兄弟とともに再版してほしい~~~~~~~~~~~!!!!!

というかそもそも加藤先生はこの「鎌本健一、十五歳」と「The神田兄弟」しかコミックスを出されていないようで…

こんな素晴らしい作品を描かれる方なのにあまりに寡作で残念すぎる…;;

今後また加藤先生の作品に出会えることがあると嬉しいです…

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