これをBLと言っていいのかは分からないのですが…
鈴木志保先生の「船を建てる」、昔ぶ~けというヤングレディース雑誌で連載されていた作品です。
ジャンルとしては少女マンガなのかな。
私は子供の頃、このぶ~けを親戚のお姉ちゃんにもらって読んでいたのですが、
とくに大好きだったのがこの「船を建てる」だったんです。
私はもともとぶ~けコミックスで発行されていた単行本を持っているのですが、
全6巻だった本が今は上下2巻にまとまって出ているんですね!
6巻が2巻にまとまるのか~~
そういえばこの間ご紹介した鳥人ヒロミ先生の「成層圏の灯」も4巻が2巻にまとまってましたもんね。
船を建てるはもともとワイド版の薄めの本だったので、2冊にまとまるのも納得ですが
ちょっと不思議な感じ。
以下、ネタバレを含む感想です↓
アシカたちの住む世界、アメリカを舞台にした古い映画のような世界観。
コーヒーと煙草という名前の二頭のアシカがこのお話の主人公です。
可愛いもの、キラキラ素敵なものが散りばめられたハイセンスなハイパーお洒落マンガなのですが、
可愛いキャラたちの可愛いやりとりが繰り広げられるほんわかした日常の中に
常にしらじらと冷たい「終わりの気配」のようなもの、
そして宗教観、死生観みたいなものがあって
とても深く感情を揺り動かされる物語でもあるのです。
こちらは見た目に反してけしてハッピーハッピーなほっこり系マンガではありません。
そしてそこがまたすごくいいんですよね…!
さて、これをこのブログでご紹介するのは
コーヒーと煙草という二人の関係性に萌えるから、でございます。
少し1969年のアメリカ映画、「真夜中のカーボーイ」の二人に似てるような。
(こちらは吉田秋生先生も作品タイトルに使っていたりしてお好きな映画みたい。
私も好きな映画です。)
心優しいコーヒーとちょっとワルな煙草は旅の途中、広告塔の下で出会い、一緒に暮らすようになります。
「ただお互いがあればいい」
これが二人の関係性。
かわいいBLというよりはハードボイルドなブロマンスみたいな感じでしょうか。
そんな二人やまわりの登場人物(人ではありませんが)たちにひたひたと迫ってくる
”終末のとき”……
コーヒーと煙草の運命やいかに…?
終末とは?それをどう迎える?自分たちにとって本当に必要なものとは?
哲学的でけっこう重いテーマがそこには描かれています。
けして甘い夢物語ではありません。
なのですが、おしゃれでポップな絵と構成で、すごくさらっと気持ちよく読めてしまうんですよね…!
ストーリーももちろんいいですが、こちらは実際絵を見てその世界観にひたることで
その深い物語に酔いしれることができると思いますので
こういう感じのマンガがお好きな方はぜひぜひ読んでみていただきたいと思います!